卵管鏡下卵管形成術(FT法)
卵管に障害があると体外受精の選択を余儀なくされることも少なくありませんが、卵管を広げる手術「卵管鏡下卵管形成術(FT法)」によって自然妊娠を期待できます。
FT法は狭くなっていたり、詰まっている卵管を通すために行うカテーテル手術です。卵管腔内の病態を直接把握し、卵管形成を行います。
特許・開発について
FT法に用いられる卵管鏡は、円筒状の伸長性バルーンカテーテルとその内側に毛髪ほどの細さのカメラを組み込んだシステムです。その為、技術の習得が大変難しく、日本では当院を含め20施設程度しか実施出来ません。
卵管鏡下卵管形成術(FT法)の実際
卵管鏡下卵管形成術とは
1細い内視鏡(卵管鏡)を内蔵した細い管(カテーテル)を用意します。
2カテーテルを膣から子宮へと挿入し、卵管に近づけます。
3カテーテルの風船(バルーン)を膨らませて、卵管の中へバルーンを進めます。
4詰まっているところを広げます。
5卵管内の様子を、卵管鏡を使って観察します。
卵管鏡で見る卵管内の様子
FTが有効なケース
卵管に狭窄や閉塞を認める卵管性不妊に有効な治療法です。
母体への負荷を軽減、保険適用
麻酔が施されるため痛みはほとんどなく、日帰りで行う手術であり、体への負担が少ない治療法です。
費用面では健康保険が適用されるメリットもあります。また、医療保険にご加入されている方は、ほとんどの場合、医療保険の対象になります。
術後妊娠率と妊娠までの期間
卵管鏡下卵管形成術(FT)を実施後の「年齢別妊娠率」
FTの治療成績
治療効果は非常に良好です。治療成績としては、卵管の開口は80%以上に確認され、他に不妊要因をお持ちでなければ術後の妊娠率にも直接反映されます。しかしながら、上記のグラフに示したように40代の方の術後の妊娠率はそれほど高くなく、40代の方にはおすすめしておりません。
当院ではFT法後6ヶ月を大切な期間とし、FT法の効果が高いうちにタイミング療法または、人工授精(AIH)にて早めに妊娠することが望まれます。
卵管鏡下卵管形成術(FT法)を実施後の「FT後妊娠までの期間」
当院では、習熟した技術により、卵管内のひだの状態を左右確認しても約15分〜20分で終了いたします。ほとんどの方は翌日からの痛みもありません。また、高額療養費制度が適応されます。卵管因子により他院で体外受精をすすめられても、自然妊娠をご希望のあなたにとって有効な治療方法である可能性がありますので外来でご相談ください。